芝 政行 エイワーク塚口店
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阪神・淡路大震災を経験して
一生不動産をやっていこうと決めた
大学卒業後、最初はシステムエンジニアをしていたんですが、「これが本当にやりたいことだろうか」と疑問に思い、3ヵ月で辞めました。そのあと2ヵ月考えた末ある不動産会社に就職しました。実家が賃貸業を営んでいたこともあり、家が好きだという気持ちがあったのがその理由です。この不動産会社では賃貸営業として働きました。社会人の厳しさを学び、勉強になりましたよ。
その会社にいたとき、忘れられない出来事がありました。平成7年の阪神・淡路大震災です。当時、私は兵庫県夙川の営業所で勤務していました。営業所の周りも被災しましたが、3週間後になんとか、店を開けて営業を再開。あの時にいらしたお客さまのことは、よく覚えています。スリッパと靴を片方ずつに履いていたり血がにじんだ包帯を巻いていたり。ご自宅が被災して、体育館に避難されている方が、避難生活のストレスに耐え切れず、「なんでもいいから空いている部屋に住みたい」という状態でした。
たくさんの方が来店されましたが、被災した建物が多かったことから、紹介できる物件は常に足りていませんでした。お店を開けて売り切れたら閉店、という日が続きました。知っている家主さんが亡くなったりもしましたから、物件が少ないのは無理もありません。お客さまもようやく見つけた狭いワンルームに家族全員で入られたり、賃料40万円の家に、知り合いの家族と折半で入居されたりしていました。
あの当時、半年ぐらいは寝る間も惜しんで働きました。忙しいのもありましたし、交通も復旧していなかったので住んでいた尼崎から西宮まで出るのに1時間かかっていました。帰宅が深夜の2時ぐらいになったことも。でも、その時に「不動産は人が生きていく上で、本当に大切な仕事だ」と実感し、この仕事を一生やっていこうと決めました。
そんなときに、ちょうど今の会社の会長から「独立して不動産の会社をやるから、一緒に来ないか」と声を掛けられたんです。ですから、会社が出来るのと同じタイミングで、アクロスグループに入社しました。
賃貸、売買と担当し、店舗の所長に お客さまに安心してもらえる関係づくりを重視
今の会社に入ってからも、最初は賃貸を担当していましたが、その後は売買に異動し、現在は武庫之荘南店の所長を任されています。私自身、物件を紹介するときは、まずお客さまの話をしっかりと聞くように心掛けています。
来店される方は、はじめ少し緊張していることが多いです。「強引に買わされるんじゃないか」と不安に思う反面、「良い会社や担当者に出会いたい」「良い物件を選びたい」との期待も持たれています。そんな中でお客さまに信頼していただくために、いきなりお客さまの話を聞くのではなく、「私のことを少し話してもいいですか?」と前置きして、自分の話をしたりしています。といっても、他愛のない話です。趣味だったり、飼っている犬の話だったり、出身地についてだったり。もしお客さまと共通の話題があれば、そこを深く話して、私の人となりを知っていただき、安心してもらえるようにします。
営業担当者がどんな人間かを知っていただかないと、お客さまのライフプランを伺ったり、私からプロとしてのアドバイスをさせていただくということが、なかなかできないんです。「芝という人間だから任せたい」という信頼関係が必要なのです。単に家を売るのだけではなく、人として深く関わらせてもらった方が、良い物件を提案できるのは間違いありません。
お客さまの考えがまとまっていなかったり、夫婦で希望が合っていなかったりするときは、私の今までの経験からさまざまな選択肢を提案します。私という第三者を間に挟んで話してもらった方が、冷静に話し合いができるんですよね。
部下に声を掛けられたら必ず手を止める 普段から社員間で話しやすい空気をつくる
一番は、自分に余裕を持つことです。スケジュールの調整や体調管理など、仕事に行くまでの準備が大切だと思っています。自分自身の生活サイクルがしっかり整っていれば、目の前のお客さまや部下の問題を、冷静に見られると思っています。
何か作業をしていても、部下から相談されたら絶対に手を止めて聞くようにもしているんですよ。部下は困っているから、わざわざ声を掛けてくるので。そこはちゃんと向き合って、話を聞かなければと思っています。
部下がお客さまと話しているときの温度感や、空気感も見ています。部下たちは全員が「目の前のお客さまを良くしたい」と思ってはいますが、一人の力では限界があるもの。だからこそ、どうすればより良くお客さまをサポートできるかを、ベテランの立場からアドバイスするのが大切だと思っています。
そのために、日頃から部下とは話しやすい人間関係をつくっています。同じ営業として、私の経験で役に立つことがあればシェアしたいですし、部下にはそういう風に上司を使ってほしい。これを義務で「何かあったら報告しなさい」と言ってしまうと、本当に正しい情報が来ないんですよ。なので、普段から些細なことでも話しやすい空気づくりをすることが、すごく大切だと思いますね。
お客さまに喜んでいただくために 一日一日をしっかり積み上げる
やはり、お客さまに「ありがとう」と言ってもらえることですね。家を買うのって、本当にお金がかかるんですよ。我々がいただく仲介手数料だけでも、100万~200万円と高額です。それなのに、感謝までしていただける。そのためにも、プロとして知識をしっかり持つことは当然ですし、「目の前のお客さまの幸せを考える」という会社の理念に沿って行動しています。
昔は、不動産屋のイメージって、あまり良くなかったと思うんです。でも、アクロスグループは「お客さま第一」の理念が社員にしっかり根付いています。だからこそ、「ありがとう」と言ってもらえる営業になれる。人から感謝していただける、良い仕事だというのを若い社員にしっかりと伝えていきたいです。今も、一日一日、その積み上げをしながら仕事をしています。